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熱中症は暑熱によって体温調節機能が正常に働かず、過度の体温上昇と脱水による多彩な症状を呈し、重度の場合には死に至ることもあります。
わが国の熱中症による死亡率は年々増加傾向にあります。
これは温暖化による気温の上昇と高齢化、一人世帯の増加、都市部への人口密集など様々な要因が重なった結果と考えます。
熱中症による死亡率は加齢とともに増加する一方、4歳以下の乳幼児にも死亡例がみられ、これらは車中で高温にさらされたためです。
成人の熱中症の症状は「熱失神」「熱痙攣」「熱疲労」「熱射病」によって引き起こされ、初期症状は手足のしびれ、眩暈、立ちくらみ、こむら返りなどです。
中等症になると頭痛、嘔気・嘔吐、倦怠感、意識不明瞭となり、重症化例では意識障害、痙攣、歩行困難、発熱などがみられます。
熱中症の発症は気温・湿度・風力・輻射熱などの温熱環境因子の他、年齢、持病の有無、運動や労働による生活活動強度、服装などが関与します。
なかでも温熱環境因子:暑さ指数;WBGT(wet-bulb globe temperature, ℃)は熱中症に罹患する危険度の指標として広く用いられ、簡便な自動測定器も開発されています(デルタクリニック入口に設置しています)。
算出したWBGTによる危険度は4〜5段階に分類されます(下図)。
WBGTが20℃以下では「ほぼ安全」です。
21〜25℃は「注意」で激しい運動や重労働を控え、
25〜28℃は「警戒」で全ての激しい生活活動を控えます。
28〜31℃は「厳重警戒」、
31℃以上は「危険」でともに生活活動強度と関係なく熱中症にかかる可能性があり、外出時炎天下を避け、室内の温度上昇にも注意します。
さらに後者は安静状態でも熱中症にかかる危険性が高く、高齢者などでは外出をせず室内の涼しい環境で過ごします。
現時点〜翌々日までのWBGTは環境省のホームページ「熱中症予防情報サイト」から検索することができます。
附則1)
環境省と気象庁は、2021年からWBGTが33℃以上となることが予測される場合には、熱中症警戒アラートを発令し厳重な警戒を促します。
「不要不急の外出を避けエアコン等を積極的に使用する」
「高齢者、乳幼児、持病をもつ方に配慮する」
「空調が不十分な施設での屋内外の生活活動を行わない」
などです。
加えて脱水による悪化を阻止します。
熱中症にならないための水分補給は、食事に加えて1日あたり1.2Lの飲水が必要です。
塩分は約0.2%含まれるスポーツ飲料(OS-1、ポカリスエット、アクエリアスなど)が便利です。
とくに、生活活動を行うにあたっては、開始時から終了後まで定期的に摂取し、少量の糖質はより効果的です。
飲酒は脱水を助長するため水分を十分摂りましょう。
夏場は熱中症対策として救急セット(瞬間冷却剤、経口補水液、霧吹き、発汗抑制パウダー、スポーツ飲料、うちわなど)を備えておきましょう。
重症化の前にかかりつけ医を受診するか救急隊に連絡しましょう。
附則2)
わが国は未だ新型コロナウイルス感染拡大が続いています。
感染予防のため推奨されてきたマスクは熱中症のリスクを高めます。
屋外でソーシャルディスタンスが保たれる場合等にはマスクを外しましょう。
熱中症と新型コロナウイルス感染症の初期症状は類似し、鑑別困難なことがあり、唯一抗原検査やPCR検査結果に頼らざるを得ない場合があることに留意しなければなりません。